ぼちぼちでええやん。

人の動きについて根っこから理解したいと思ってます。シンプルラーニング提唱者、キネステティク理事、YOUTUBE「楽な動きの学習会」ブログは癖が強い記事が多めです。

「anone」が面白い

たまには雑感を書きます。

今回はドラマについて

※ネタバレはありません。

 

今僕が見ているドラマは

「anone」

「アンナチュラル」

「トドメの接吻」

 

です。

全部面白いですが、一押しは「anone」です。

そのままローマ字読みで「あのね」と読みます。

 

www.ntv.co.jp

 

広瀬すずが主役ですが、残念なことに低視聴率です。

ただこのドラマ、回を重ねるごとに、とても丁寧に描写していて、面白い。

登場人物それぞれの一言、一言が深くて、考えされます。

 

ストーリーの展開は大味です。コメディー並みに話が展開して行きます。あっそんな流れになるの、って思うこともしばしばです。しかしこのドラマはそれを凌駕するほど、登場人物の感情の描写がとても丁寧です。おそらく話は突拍子もないのに、感情表現は大げさではなく、一人の人間として描かれている分、最初はどのように楽しめばいいのか、分かりにくさがあり、そのせいで低視聴率なのかも知れません。

 

しかし回を重ねるごとに、見ている側は自然にストーリーより、そこに描かれる人物描写に比重が置かれるようになります。多くのドラマがストーリーがあってこそ成り立ちます。その展開にドキドキしたり、ワクワクしたり。

 

しかしanoneは逆です。anoneはむしろ、何気無い日常のご飯をみんなで食べる瞬間、何気なく挨拶をしている瞬間、ボーと歯を磨いている瞬間、しょうもない話を受けながして愛想笑いしている瞬間、そんな日常の幸せをとてもうまく表現していて、その光景を眺めるだけで嬉しくなります。ストーリーなんていらないとさえ思ってしまいます。俳優陣もとっても上手いです。

 

確かに1話、2話と話は暗いし、よく分かりにくい展開でした。その中に登場人物の人生が1話、2話と少しずつ描かれており、最初は他人の不幸話にしか思えません。よく考えると登場人物みんな不幸です。しかしそのバックグラウンド見ているからこそ、普通の日常の大切さ、誰かと食卓を囲むだけの幸せ、ただ話をすること、誰かの帰りを心配すること、用意していた夜ご飯がこってりとし朝ごはんになること、安売りのパジャマを無駄にしたこと、それが、キラキラしている事なんだと気付かされます。

 

5話のセリフで印象的なだったのは

 

小林聡美

「生きるって難しい」

と雑談をしています。

 

そこで

田中祐子が

「生きなくてもいいの、ただ暮らしていれば」

とボソッと話します。

 

と一生懸命生きなくても、それでも暮らしてさえいることに価値があるんだと何気なく話す場面がとても印象的でした。この辺は歳を重ねているからこそ、この単純なセリフに深みが出るのでしょう。

 

そして生きると暮らすという絶妙な表現を使い分けることが素晴らしい。普通に考えると生きることが暮らすことです。生きると自ら発言した時、それはどこか生きるという主体的な行為のように思います。この場面でいう、暮らすは一生懸命でもなく、ただ毎日を過ごす。朝がきて、夜が来る、その繰り返しをする。そんな違いをボソッと話す。そしておそらく、そのようは会話ができること自体が、その登場人物について暮らすことそのものであると、そんな風に場面全体を通して理解できます。

 

多くのドラマには何らかのメッセージはあるのかも知れませんが、それが全然押し付けがましくありません。主人公が「生きるって素晴らしいことだ」「愛は素晴らしい」「正義は勝つ」なんておそらくこれからも言わないでしょう。答えを見せつけられる具体的な場面もありません。いわゆる「幸せとはこんな状態ですよ。」という幸せの押し付けもないでしょう。

 

そこにあるのは、ただのいつも少し違う日常です。ただ、その日常の生き様を描くことで、見る人にとって、大切な何かを見つけられるようになっている。そんなドラマだと思います。

 

今は5話まで見ましたが、今後はストーリーが大きく動きそうな予感です。(このストーリーがもう少しマイルドだと視聴率も良かった気がしますけどね笑)それでも面白いドラマです。それどころか一押しです。これからどんな展開になるか分かりませんが、登場人物を見守って行きたいと思います。ストーリー展開よりも、その中で、登場人物が何を感じ、何を思うか。できればこのまま何もなく過ごしてほしい。そんなことを思う不思議なドラマです。多分無理っぽいですけど笑。ストーリーが変わらないのなら普通のドラマなら退屈で見てられませんが、anoneの登場人物ならそれもありです。

 

ちなみに、映像や食べるもの、ドラマの構成など、細部を見るととってもこだわっていることに気づきます。言わないと気づかないかもだけど、そんなところも僕は好きなドラマの理由です。たとえば、このドラマは色の使い方がとっても意味ありげに使い分けられています。青と赤、時に黄色、それさえ何かの表現だったりしますが、それが明確に何かを語られることはおそらくないでしょう。

 

だから他の人の解説を見るのもとっても楽しいです。

具体的な解説は下記のブログで見ることができます。

僕は1話見てから、このブログを見て解説を読むとまた世界が広がって楽しいです。そんな風にしたら1話を2度楽しめますよ。

 

もちろん、解説なんていらないという人はドラマだけ楽しんで見てください。

 

hiko1985.hatenablog.com

 

低視聴率だけでも、よろしければ5話ぐらいまで見てください。僕が言っている意味がわかると思います。前のTBSのドラマでカルテットが好きだった人はなおさらおすすめ。分かりにくいかもですが、それも最初だけ。そして分かりにくいからこそ、また新しい面白さがあると思います。

 

見逃し配信は最新話のみこちらで、一週間だけ無料で見ることができます。

tver.jp