感情ってなんだろう④ 健やかな精神を育むためには?
精神的な問題に関して、どのようにしてアプローチしていけばいいでしょうか?
※まずは先にこちらの記事からどうぞ
感情ってなんだろう① 身体感情について - ぼちぼちでええやん。
感情ってなんだろう③ 身体感情と思考感情の関係 - ぼちぼちでええやん。
基本的なアプローチとしては、身体感情がベースですから、そこを安定しないまま思考感情がコントロールできるものではありません。
お腹って減ってる時は人はイライラし、熱いときはぼーっとし、転倒しそうな時はドキドキするものです。これも身体感情ですが、その状態で、あれこれ考えることは一般の状態では不可能です。
過剰な残業続きなら、休まない限り心は元気になりません。意識高く持っても、ストレスマネジメントしても残念ながら身体感情をケアしないと限り仕組み的に難しいです。
まぁ、簡単に言っちゃえば、あれこれ悩む前に自分の生活を見直し身体のケアをしましょう。ということです。
不快や転倒の恐怖を減らし、快適になるように身体のケアを優先します。
つまり寝てなければ、しっかり寝る。便秘ならばまずそれを解消する。疲れているのなら休む、風呂に浸かる。栄養不足なら、美味しいものを食べる。そんなあたりまえと呼ばれることを案外後回ししがちです。
生活に心地よさを増やしていく。これこそ精神的な生活リハビリそのものです。生活リハビリというと生活の中で頑張ることと思われがちですが、そうではなく、生活を通して元気になっていくということです。
毎日の生活の中で快が増えると、自然と日常のイライラや、過度に焦ったりすることも減っていきます。最近はよく筋トレさえすれば精神も安定するし、全て解決なんて言う人もいますが、まさにこの身体ケアの一種です。適度な運動して汗流しせば自然とスッキリ気分よくなり、悩むことが少なくなるのです。
ここで強調したいのは、これからの精神アプローチに身体にもとづく感情を無視できない。ということです。特に認知症や、鬱、トラウマなどの病的な症状の場合カウンセリングなど精神的なアプローチに終始しないようにすることです。それらは思考感情に働きかけますが、ベースの身体感情がグラグラだと余計に混乱することが多いのです。身体感情に働きかけることをベースにしなから、思考感情に働きかけていくことが基本的な精神面のアプローチになります。
ちなみに思考感情では、捉え方の多様性を学習してください。一個のことを信じ込む系はやめたほうがいいです。大半はごじらせます。多様な捉え方を知ることで、物事を柔軟にとらえることができます。これが正しい!!と一つのものにこだわること自体が、苦しさを生みます。
それよりも意識高い時もあれば、低い時もええことあるよね〜、生きてるだけで十分えらいよねなど、様々な視点を吸収してみることをおススメします。
まとめると、健やかな精神とは、しっかりご飯食べて、寝て、お風呂入ってトイレ行って、たまに運動しましょう。その隙間に視野が広がる自分にはない考えをたくさん取り入れましょう。ということになります。
こうやって文字にすれば当たり前のことですか、案外アプローチが偏ってしまうのです。精神的な問題なら、考え方ばかりにフォーカスをあてるのではなく、その人の過ごし方を豊かにしていくと。また身体感覚に働きかけることで、思考が安定していくこと。そして思考は多様性をもつこと。健やかな精神というのは、こうやって育まれていくのです。
認知症なら便秘で、せん妄状態で全く落ち着かない症状になるこは知られていますし、脱水でソワソワしたりぼーっとなる人もいます。トラウマなら、ゾワゾワする身体感覚のフラッシュバックに対してアプローチする必要ありますし、鬱ならまず身体を休ませないといけません。
ただし、思考感情が強すぎる、身体感情が抑制されている場合、例え仕事しすぎて自分の身体に悲鳴を上げていることが気づかない、何かを盲信することでストレスに気づかない場合、この場合はあれこれ思考の多様性を訴えても難しいです。
その場合も、やはり身体感情から働きかけていくことが必要です。身体感情に注意を向けることで、少しずつ自分のベースを取り戻していく必要があります。自分の身体を感じられるようになったとき、初めて自分が傷つき、痛み、疲れていることに気づきます。気づくことで、自分に今していることが必要ないことがわかります。逆に気づかない限り、今の行動を変えることはできません。
全体のまとめ
精神や感情というと、思考ばかりにフォーカスを当てられてしまいますが、実は身体感覚がものすごく重要です。
逆に動きの問題は筋肉ばかりにアプローチが向けられますが、私達は筋肉が収縮するときも感情の影響は受けるのです。
人が動いているとき、心も身体も動いているのです。
人が止まるとき、心も身体も止まっているのです。
人の動きの理解を深めるならば、心と身体の両方を見ていく必要があります。健やかな精神とは、健やかな動きである。という視点が欠かせないのです。
おわり
感情ってなんだろう③ 身体感情と思考感情の関係
感覚にもとずく感情(※長いので身体感情とします)と、思考にもとずく感情(思考感情)はどんな関係性があるのでしょう。
※まずは先にこちらの記事からどうぞ
感情ってなんだろう① 身体感情について - ぼちぼちでええやん。
実は感覚感情がベースになり、思考感情がその上に乗ってる、ちょうどピラミッドの上と下の関係にあたります。
思考感情は感覚感情の影響を受けます。例えばトイレ行きたいと膀胱が訴えかけていれば、感覚感情しては不快です。その時に他人の不倫話で真剣に怒れるでしょうか?
無理ですね。どうしても感覚感情の不快が先に立ってしまいます。逆さっきまでイライラしたのに、お風呂にザブンと使ってしまえば、その快感情に影響されイライラが軽減することもあるでしょう。
このように感覚感情は、思考感情のベースになるようなものです。感覚感情が不快なのに、思考感情ばかりメンテナンスしても改善は難しいでしょう。
だからこそ、精神的なアプローチも身体に働きかける感覚感情のケアもかかせないのです。最近ではカウンセリングという話を聞くだけではなく、ヨガなど身体感情に働きかけるアプローチも増えています。心の問題でと身体にアプローチしていく重要性が少しづつ認識されています。
ただ漠然と心のケアをするのではなく、身体か、思考か、その両方か、どんなケアをちゃんとすることで感情が落ち着くのかをまず考える必要があります。そのイライラや悲しさはもしかすると、身体感覚の不快から来てるものなのかもしれません。だとすると身体感覚をまず快適にしてみることが優先されます。
よく悩みごとが筋トレや運動をしたら、なんでこんな小さいことで悩んでたのだろうと思いなおし解消した。という話を聞きますが、それは身体感覚に原因があり、思考感情ではなかった。もしくは身体感情が安定することで、思考感情も安定した。と捉えることもできます。
ただし、思考感情が極端に強すぎる場合は、身体感情を支配してしまうこともあります。これはもう本来のピラミッドのバランスが崩れ逆三角形のように頭側が膨れ上がってしまってる状態です。俗にいう病んでる状態です。
この状況では、身体感情を無視し、常に思考感情に支配されています。僕らでもめっちゃくちゃ心配な理由があって、トイレに行くので忘れてた。とか、嫌な人が隣にいることで、過去の嫌なことされたイメージが先行し、呼吸が荒くなったり、体温が上昇することもあります。ただそれは一時的なものが多いのですが、極端に思考感情に支配されていると、嫌いな理由が近くになくても、ずっとそれが続いたり、急に思い出すことを繰り返します。
うつ症状などは、常にやらなければ行けない使命感や、期待に応えてようとする気持ちばかりが優先され、身体感情を抑圧しすぎたことで起こることも多いです。
人間は思考が強く発達しすぎたため、今ここで起こってないことでと、脳の中で再体験してしまうのです。ずっとその時の体験がこびりつき離れないことがあります。これは本来身体が感じてる感覚がベースではなく、実に巧妙な想像がなせる思考感情なのです。それはあくまでも脳の中のものであり、現実に今ここで起こっていることは違うのです。
思考感情が強くなりすぎると、今ここで起こっている身体感情は抑制され、常に思考感情に支配されている状態になります。
多くの場合それは苦しみを生みます。なぜならば今ここで起こっていることにフォーカスを当てなければ、現実に適応することは難しいのです。今ここの現実に適応した感情を抱くことで、人間は生きて行けます。快的なら、なるべくそこで過ごそうとし、不快ならばできるだけ快適になるように工夫するものです。それらを思考感情で抑制すると、どこがで無理が生じたり、逆に常に快適な感じを感じられず身体感情が不安定になります。身体感情という心のベースが不安定になりますから、思考感情もさらに不安定のままです。
身体感情が不安定のまま、色んな視野を広げてもこじらせるだけです。詐欺や怪し宗教や、コミュニティーなどにはまりかねません。前回の記事では思考感情を整理するためには、沢山の視点を学ぶことだと解説しましたが、それはある程度身体感情が機能している場合です。身体感情が極端に抑圧されてる場合は、考えることそのものを放棄して、身体感情にもっと注意を向けていく必要があるのです。
そして、程度の差はあれ、考えすぎてるなと思える人も、まず身体感情にフォーカスすることで、自然と思考感情も落ち着つくということは多々あります。
次に、少し最後にもふれましたが、この感情の仕組みを理解して私たちはどう感情と付き合っていけばいいのか。楽しく豊かな気持ちで過ごすにはどつすればよいか。
それは次の記事で考えましょう。
感情ってなんだろう② 思考感情
前回は感覚にもとづく感情を説明しました。
※前回の記事はこちら
感情ってなんだろう① 身体感情について - ぼちぼちでええやん。
では思考にもとずく感情とはどのようなものでしょう。
これは文化や価値観に大きく影響させる感情です。
例えば
悲しみ。嫌なことがあった時の感情です。サイフ無くして悲しい、試験に落ちて悲しい。など多くの場合理由が存在しています。
※時間できず抑え込んでる人もいます。
怒ることも、同様に思考にもとづく感情です。渡部が不倫してサイテーだ!!とか、あんな可愛い嫁もらってるのに贅沢だ!!とか笑
※これを書いた日は報道があった日です。
このように何か理由があって、それが自分の意に沿った時に喜び、違うときは怒ったり、悲しんだりすることを思考にもとづく感情、略して思考感情と呼んでもいいでしょう。
これらの感情は思考にもとずいてますから、考え方や価値観が変われば自ずと違う感情を抱きます。
例えばアンジャッシュの渡部はけしからん!!と思っても、よくよく考えてみると全く関係ない人で自分はむしろTVみて楽しませてもらってたと思うと、腹の立ち具合も変わるでしょう。全く関係ないことを意識すれば、急にどうでもよくなりませんか?個人的には国の税金の使われ方のほうが気になります。
視点を変えるだけで感情が変わります。つまり思考にもとずく感情が制御できないのなら、無理矢理抑え込もうとするのではなく、色んな視点を学ぶことです。そうすることで物事を多様にとらえ、適切な感情を自分で選ぶことができます。
間違えても、今の発生する気持ちを直接抑え込むのではありません。そうではなく、もとになる思考や価値観を変えていく必要があります。感情そのものに抑制すると、感情を出すこと自体が抑制されるだけで、そのうち何も表出できなくなってしまいます。
例えば今怒りの理由があったとしても、怒らないでおこう、おこうとするよりも、なぜ自分は怒るのか?その思考パターンや価値観にフォーカスするのです。思考や捉え方が多彩になれば、一つの怒りの感情に振り回されることは自然となくなります。
渡部を例にあげると、不倫だから良くない!!っも怒りますが、そもそも表面的なところしか知らないわけだし、他人が口挟むことなのか、自分に関係あるのか、不倫が認められている国の人々も渡部と同じように批判していくのか、そんなことを考えながら思考を整理して、その上で納得しなければ、怒ればいいと思いますが、最初の不倫=悪だ!!というような感情とはまた違う感情を抱くでしょう。
まとめると
感情をより豊かにしたいなら
不快や快にもとづくものなら身体にアプローチし
理由があるものなら、思考にアプローチします。
どちらにも肝心なのは感情そのものを扱わない。ということです。それよりもそのベースになる思考や身体にアプローチするのです。感情は結果にしかすぎません。元を変えずに結果ばかり変えようとすると、無理が生じます。
感情そのもの抑圧は、全体の変換システムが機能せず、何も感じない、何も考えられない人になる恐れもあるでしょう。
いいんです。人間だから、変な理由で怒ることもあるでしょう。今思うとどうでもいいことにこだわり悲しくなることもあるでしょう。そんな失敗も受け入れながら、色んな感覚を感じ、色んな思考にふれていくことです。
次は、感覚にもとづく身体感情と、思考にもとづく思考感情の関係性を考えていきましょう。
感情ってなんだろう① 身体感情について
動きには感情が付きまといます。
動きの理解を深めるためにも、そろそろ感情について整理しなければなぁと思ってますが、少し時間がかかりそうです。
動きを思考と感覚を整理できたおかけで
ある程度感情について見えてきたことを書いていきたいと思います。
僕は感情も二つに分けれるんじゃないかと思っています。
感覚にもとずく感情と
思考にもとずく感情です。
感覚にもとずく感情とは、快や不快レベルの感情です。しんどかったら嫌な気分になるし、心地良ければ爽快な気分になる感情です。身体の感覚にもとづきますので、『身体感情』と呼ばせていただきます。熱くてだるいとか、お腹が減ってしんどいとか、逆に身体が軽くてスッキリするような感情のことを言います。
感覚にもとずく感情は快と不快以外に
もう一つあって
これも重要なのですが、落ちることへの恐怖
という感情です。
お化けが怖いとかそういう怖さとは違い、転落することへの本能的な恐怖です。コケそうになる時の恐怖ですね。歩いてたら急にバランス崩れてグラッとする時に味言う感情です。高いところから、下見てゾッとするのともちがいます。
人間は落ちるという恐怖は赤ん坊のころから持っているものだそうです。
地球の重力の環境下の中では
落ちるという感覚を感じるながら進化してきたので、そのような考え方も過言ではないでしょう。
だからこそ人は落ちる動画に本能的な恐怖を覚えます。
ちなみに落ちる恐怖は、動物も持っています。運動神経のよい、猫でもうっかり落ちたときは、相当焦っています。
動きの学習は不快、快、転落
という3つの感情を抜きにしては語れないでしょう。ですが今後さらなる考察が必要です。
※落ちる恐怖に関しては後日さらに語りたいと思います。
今までは感覚に基づく感情を紹介しました。
これらの感情は身体を適切にケアしたり、楽な動きを学習することより大きく変わります。なんとなくイライラしたり、落ち着かない時は心のケアを先にするのではなく、まず身体が心地よいことを提供すると、つまり身体のケアをすると自然と感情も落ち着いてきます。
次は思考にもとずく感情を紹介したいと思いますが、それは次回に。
シンプルラーニングの実践例 パーキンソン症状で悩まれている方
※文章をクリックすると動画が見れます。たぶん。
#シンプルラーニング #リハビリテーション #パーキンソン病 #理学療法 士 #作業療法士 #リハビリ #動きの学習
ホームページ、研修日程はこちら
ブログはこちらを参考にしてください。
動きの学習に必須なランダムエラーという概念 - ぼちぼちでええやん。
あなたは『混乱応答』という現象を体験したか? - ぼちぼちでええやん。
良くしたいなら、理想に近づけない!! - ぼちぼちでええやん。
おススメのリクライニング車椅子
僕がリハビリの仕事をし始めたとき、もう15年ほど前になりますが、リクライニング車椅子って正直微妙なのばかりでした。今もこれらの製品は普通に販売やレンタルされ、使用されている場面をよく見ます。
最近になってようやく、いい感じに使える車椅子がでできています。せっかくなので、何がアカンところだったのか説明してから、おススメの一台を紹介させてもらいます。
では行きましょう!!
昔のリクライニングのアカンところ7選
1、サイズが大きすぎ問題
リクライニング車椅子はそもそも海外の規格をそのまま、参考にして作られていました。最近は少し体型も大きくなってきましたが、それでも多くの場合180前後の人でぴったりぐらいのサイズになっています。最近はだいぶ少なくなりましたが、小柄なおばあちゃんが車椅子の中で埋もれているように座っている光景が普通でした。胃ろうしながら、車椅子に埋れている光景を見たことありませんか?
2、肘置きの高さが低すぎる問題
そもそもリクライニングというものは、座位の機能が低下している人が使うものです。肘置きを使うことで、座位の負担をかなり軽減できます。負担軽減できるということは、快適西宮座れる時間が増えるということです。例えば介助されながらでも食事するためにも、最低限楽に座れること必須です。そのために肘おきは欠かせません。
座位の機能が低い人はクッションを使う必要があります。ただ、このクッションに関しても一癖も二癖もある商品が多いのですが、そこはまた後日語ります。
とにかく、クッションをお尻に敷くということは、クッション分の肘の高さが上に上がるということです。するとどうでしょう。ほとんどの人が肘おきが低くて、使い物になりません。よっぽど腕が長くないと、使えないようになっているのです。
3、肘置きの質が悪すぎ問題
肘置きをちゃんと使おうと思うと、安定して、心地よさが必要です。それなのに、肘置きそのものがグラグラして落ち着かないもの、肘置きの面接がとても小さいもの、非常にプラスティッキーでゴツゴツしていようなものばかりなのです。肘置きって無意識的に使うこど多いのですが、不快だと全く使わなくなるのです。
4、ヘッドレストと背もたれが一体化問題
これも非常に問題だと思っています。多くのリクライニング車椅子は背もたれを長くして、その延長に枕をつけるような構造になっています。これでは寝ているときにしか使えません。
リクライニング車椅子でも、背もたれや身体を起こして使うと、自然と頭はやや前方にでていきます。人によって頭が保持できてない人や、緊張の偏りがある人なら左後頭部をサポートしたりする必要もあるでしょう。しかし多くの場合は枕としての機能だけで、座位でもヘッドサポートの役割はありません。これではずっと寝とけと言われているのと同じです。
5、リクライニング機能しかない問題
背もたれ角度がつくリクライニング機能は、滑り台のようになり、ずり落ちを誘発します。そのためティルトと呼ばれる座面全体が角度がつく車椅子もあります。リクライニングとティルト、この両方の機構が付いているものを選ぶと良いでしょう。ただし注意点として、リクライニングとティルトが連動しているものがあります。これは個別の調整が行いにくく、かなり使いにくいのでおすすめしません。リクライニング、ティルト分離型を選びましょう。
6、車椅子の精度があまい問題
リクライニングは普通の車椅子に比べて非常に部品が多くなります。色んな部品で成り立ってますから作りが甘いと、全体がグラグラと歪むこともあります。車椅子を選ぶときはしっかり揺らしてみて作りの精度を確立しましょう。また長く使えば使うほど、当然ですがガタガタしがちです。それが座位や介助のやりにくさにらつながります。これは仕方がないことなので、こまめなメンテナンスが必要です。在宅では介護保険でレンタルすることがおすすめです。業者さんが新品に交換してくれたり、メンテナンスしてくれるからです。
7、番外編 レンタルの車椅子の注意点
同じ製品でも、レンタルの製品と販売の製品で違うところがあります。それは車椅子の生地です。購入用のものは、通気性のよい生地が採用されていることが多いのですが、レンタルは汚れ防止を優先して、合皮のレザーが多いです。一見高級に見えますが、ムレや滑りやすさなどデメリットが大きいのです。レンタルでも合皮のレザーでない製品もあるので、どのような素材が使われているか確認しましょう。
と、細かくいえばフットレスト問題なのどまだまだあるのですが、大きなところはこの辺りです。幸いな事に車椅子は少しずつ使い勝手のよいのが出てきています。その反面なんじゃこりゃ〜という製品も少なくありません。
上記であげたポイントは僕自身が車椅子を選ぶ上でずっと悩んでいたポイントです。これらが全てでなくても解消された車椅子はないのかなぁと願っていました。
数年前ですが、それにピッタリなのてが見つかったのが、この製品です。
まず、サイズ展開が2種類あります。そして大きな方でも比較的日本人にあったサイズ展開です。さらに肘おきがこれでもかというくらい高さを稼ぐこともできます。さらにこの肘は分厚く、快適な質になっております。この肘置きで快適に座れるのはもちろん、肘置きに幅がある程度あることで、移乗の際肘置きを下ろしたときに、ツライチになり隙間がなくなるので、移乗がしやすいのです。
またヘッドレストは大きめです。しかも関節が360°グリグリ動くタイプで色んな角度でサポートできます。シートの差材も合皮ではなく、通気性のある生地です。
ティルト、リクライニングは分離式です。さらに足で踏めばブレーキがかかる仕様なので、介助者の使い勝手もよいです。
と地味に上記の不満点をかなり解消されている車椅子なのに、全然アピールがないのはもったいないなぁと思って説明しました。
不満点を上げるとすると、サイズ展開は3種類は欲しいところです。2種類でもありがたいてずが、せめてL.M.Sと服のようにそれぐらいのサイズ展開がないと、日本人全体に対応しにくいでしょう。フットレストの出来がイマイチ(それでも従来品よりはよい)で、フットレストの高さをもっと高く上げたくてとも、届かない問題があります。フットレストに厚めのマットを貼りつけて対応していますが、そこは改良して欲しいところです。
ちなみにこの車椅子のフットレストはエレベーター式という足置きが水平に上がるタイプと、そうではないタイプを選べることは素晴らしいです。だからこそ、あと2センチでいいから足置きを高くできたらいいのに。とよけにいに思うわけです。構造的に難しいのかもしれませんが。
※リンク先ではエレベーティングのものになってますが、必要なければノーマルのものをおすすめします。
ここで上げたのは一つの製品てすが、ほかに良ものもあると思います。皆さんも福祉機器展や、業者と関わるときに上記の視点をもとにリクライニング車椅子を選んでみてはいかがでしょう。
リクライニング車椅子全体の問題として
最後にリクライニングそのものデメリットとして、普通の車椅子に比べたら重いし、デカいので、取り回しや持ち運びという面で不利です。先程紹介した製品は、昔のリクライニング車椅子に比べるとコンパクトにかつ、重さも抑えておりますが、それでも大きい事には変わりありません。
リクライニングがそもそも本当に必要なのか。普通の調整式の車椅子との使い分けはできないか。など、リクライニングありきで考えないほうがいいでしょう。今回紹介した商品も必要なければ使う必要なありません。しかし最終的にリクライニングが必要となったときは、この記事を思い出してください。ここで上げたの製品も僕が知ってる現時点のものです。これならさらによい製品も出てくるかもしれません。
目新しい機能を追うものかまいせんが、こういう地味だけど本当に必要な部分のアップデートしているような製品を応援していきたいと思います。
※ステマではありません。
本の紹介『熊嵐』『漂流』
たまには本の紹介を。全然動きの学習とは関係ないけど、それでも色んなものに気付けて勉強になるものを紹介します!
個人的におススメなのはフィクションのジャンルです。もちろん書き手の視点に偏る部分はあるかもしれませんが、フィクションだからこそ、そのなかでどう生きたか。ものすごく参考になると思います。
吉村 昭
過去の北海道開拓時代の貧しい農村での熊襲撃について書かれています。緻密な取材をもとに小説調として書かれています。当時の人の生活の様子などもリアルで興味深いものがあります。登場する人も実際の人物です。
何より熊の恐ろしさ、怖さが描かれ、そのへんのホラーより、ホラーです。グロテスクな表現もあるので、そのあたりが大丈夫な人は読み応えがあるかと思います。集団心理の変わりよう、命の危機に陥った時の人間の行動など色んなことが勉強にもなります。
漂流
吉村 昭
同じ作者からもう一つ。これも実際にあったものを取材し、小説調として描かれています。
無人島に漂流し、どう生活していくか。という話です。過酷な生活の中で、普段あたり前の豊さに気付けます。この無人島で過ごすより、コロナ社会の方がずいぶんマシです。無人島というと、木が生い茂り滝があってというものを想像するかもしれませんが、そんな恵まれた島じゃありません。溶岩ゴツゴツの無人島です。その中でどう生活し、生きのこり乗り脱出したか。生きるとは何なのか?何が幸せなのか。それを考えるきっかけになるでしょう。
これらの本にはメッセージは特にありません。事実が物語になっているだけです。道徳本のような余計なメッセージがない分、読んだ人それぞれに思うことがあるのではいかと思います。
もしよかったら自分が紹介した本にあるような、生活や体験をしたらどうなるんだろうか?そんな風に考えながら読むと面白いですよ。