歳をとって歩けなくなるのは筋力が低下しているからでない
歳を重ねると
自分で動けるかどうか
が非常に人生を左右されるものになります。
立てない、歩けない状態では誰かの介助に頼らなければいけません。
外出どころか、部屋の中の好きなところやトイレにさえ自分でいけないのです。
僕も十数年リハビリの仕事をし、また、動きの学習に関してセミナーをしていて思うことがあります。
それは、とっても多くの人が
自分で動ける方法を誤解しているということです。
専門家でも誤解している人はたくさんいます。
その誤解とは何か?
それは、、、
筋力が低下して人は歩けなくなる
というものです。
大変大きな誤解です。
立つ歩くといった動きは、実はとても少ない力でもできるように人間は作られています。
もちろん筋力がゼロでは動けませんが、
街を見回すと「骨」と「皮」のおばあちゃんがスーパーでスタスタ歩いてるように
そこまで筋力は日常生活の動きに必要はありません。
では、なぜ加齢によって人は歩けなくなるのでしょう??
病気や障がいがなくても、歳をとることで動いが鈍くなったり歩けなくなる人もいます。
なぜでしょうか??
それは
若いままの歩行をしようとしているからです。
歳をとっているにも関わらず、本人が行うとしている歩行は、若い大学生のような歩行そのものなのです。
現実には歳をとると身体機能は低下していきます。ですから、若いままの歩き方をしようとして常に無理をして歩くことになります。それも無自覚な人も多いでしょう。
無自覚ではあるかもしれませんが、確実に
無理に動く「癖」が身体に根付いてきます。
歳を重ねれば、重ねるほど身体は以前のように動きませんから、無理やり動くという「癖」がさらに強化されていきます。無理やり動けば努力的なとってもしんどい歩き方になるのです。
つまり人が歩けなくなる原因の大半は力がないわけではなく、むしろ無駄な力が入っているからこそ、動けないのです。
常識とは全く逆なんです。
※もちろん難病などによる特殊なほんとに筋肉か動かないものなどは別です。あくまで加齢による一般的な例をあげています。
試しに自分の手の拳をぐっと、めいいっぱい握ったままで、肘の曲げ伸ばしをしてください。
かなり、しんどいと思います。
このような無駄な力が全身に入ったまま、動いているのです。
歩けない人は、ずっと力を入れ続けたまま動く「癖」が抜けません。
今度は、握りこぶしをほどいて
肘を曲げ伸ばしして見てください。
今度は軽いですね。このような軽さで骨と皮の細いおばあちゃんは歩いています。
僕の個人的な実感として
歩けなくなるのは、大柄な男の方が多いと思います。
(もちろん病気や障がいなどの問題もありますから、全てではありません)
特に若い頃、力仕事をしていた人ほど、
歳をとると歩行や立ち上がりがぎこちなくなります。
それは若い時から有り余る力を使って動いていたため、常に力任せに動いていたため
力を抜いて動くと言うことを身につける機会がなかったのです。
手も足もゴツイおじいちゃんも
椅子から立つと、息を止めて、体全身の緊張を強めて、血圧上げて
「エイッ!!」と立ち上がるのです。
とっても必死です。
歩行は滑らかに欠けて、とてもぎこちない。
変な癖がこれからもキツくなっていくのは目に見せてます。
つまり、どんどん歩けなくなると言うことです。
筋力が低下してのではなく、無駄な動きの癖の強化によるものです。
改善するには
コンドロイチンを飲んでも
サメの軟骨を飲んでも
黒酢ニンニクを、食べてもそう変わりないでしょう。
筋トレを続けるのも構いませんが、身体の使い方を知らなければ、その筋力は自分を痛める事に使う人もたくさんいます。
筋トレしても、しなくても、結局は身体の使い方です。
筋力の低下が歩けない問題ではないなら、そもそも筋トレして歩けるようになりましょう。という発想ではなく、無駄な動きの癖を変えない限り歩けるようにはなりません。
僕はたくさんの人が筋トレだけをしている様子を見ました。
機械や重りをつけて、必死で頑張っている人も。
ただ、効果がすごいあったと言う人は少ないです。筋力が上がっても、歩き方は改善されませんでした。
厳密に言うと、短期的に効果はあるんですが、それは頑張りすぎて身体が棒のようになるので、一見楽に思うだけです。
固くなることで、身体を、支えてくれますけど、長期的に見るとやはり固くなる事は動けないのです。
確かに歳をとると、筋力は低下します。
それは当たり前のことです。
体を鍛えてた100歳のおじいちゃんが走っているだけでテレビに出れるぐらい珍しいのです。
そんなことを多くの人に求めるのは酷です。イチローがメジャリーグで中年でも活躍できるから、みんなもできる!って言っているようなものです。
発想を転換します。
筋力が低下したしても、歩けないとは限りません。無駄な力を抜き、動きを洗練できるように
「身体の使い方」を学ぶのです。
歳にあった無駄のない動きを学ぶことで
いつまで、筋力がなくても歩くことができます。
ちなみにイチローも有名になる前、筋トレして動きが鈍くなる経験をしてから筋トレを積極的にしなくなったと本人が言ってました。
なぜ、イチローが長いことメジャーリーグで通用するのかという理由の一つは、筋力強化を重視してるからではなく、身体の使い方を中心に練習をしているからです。
イチローの練習場面を見ていると、体のコーディネーションを引き出すような練習をしています。
多少の負荷のトレーニングはあるかと思いますが、過負荷でボディービルダーがするようなトレーニングはしていません。
イチローは基本的に無理のない動きを体に教えて、俊敏に動くことを可能にしています。とても少ないエネルギーでもうまく身体を使えば大きな力を出すこともできます。
僕らはイチローにはなれませんが、
イチローがしていることを参考にしてもいいのではないかと思います。
スポーツ選手であれば、イチローのようなやり方をするか、ダルビッシュのように過負荷の筋トレでパワーをつけて、メージャーリーグで生きていく方法もあるでしょう。野球はかなり力を使いますから。
ただしその力は上手く使わないと、自分の体を傷つけるようになります。怪我などに悩まされる危険もあるでしょう。過剰な力は自分でコントロールできないと、自分を傷つける力にもなるのです。
僕らはメジャーリーグで活躍していくわけではありません。日常の歩く、立つ、寝返りをするなどの動きでは、そこまで力は入りません。スポーツするのでなく、自分の生活の動きなら、イチローを参考にすることをおすすめします。
いくら鍛えても、結局人は老います。老いるなら、老いないように努力するのではなく、老いと上手く付き合って楽な動きをした方がよほど現実的です。
歳をとってする必要があるのは、筋トレもいいですが、身体の使い方を学ぶことです。もしくは歳を取る前から準備するのもいいでしょう。
老化しているから、諦めろと言っているわけでなありません。
逆です。老いても、その状態の自分とうまく向き合えばいつまでも自分のやりたいことが無理なくできるです。
それは自分の可能性と向き合う言ってもいいでしょう。
若いから価値があると言う考えから、歳をとった成熟した自分も価値があると言うように。
これらは訓練でも、トレーニングでもない
「動きの学習」と言う全く新しい介護予防にもなるのです。
介護予防にエクササイズや筋トレではなく
「身体の学び」による、介護予防は今後の日本の老いの文化さえ変えるのではと思います。
ちなみに、僕が動きの学習をサポートしてるデイサービスの九十前後のおばあちゃん達は、一切筋トレしてませんが、ここ何年もピンピンしてます笑
『動きの学習』を学ぶ