言葉は抽象的に使う
動きをアドバイスするときに、あまり具体的に言うと、言われたことを守ろうとしすぎで、とてもぎこちなくなることがあります。
本来動きは、無意識的に行うことが多いので、また身体は無意識に環境に適応しようとします。
言葉というのは、思考です。つまりとても意識的なものです。考えすぎたりすると、意識的になりずて、無意識な応答を邪魔したり、無意識な動きを抑制してしまいます。
動きを扱ううえで、手をあげる動きをアドバイスするにしても
「腕はこの角度で、このようにあげる」
というよりも
身体の応答を尊重した言葉かけをする。
「なるべく快適に動かしてみてください」
「いい感じで動かしてください」
「少ない力でやってみてください」
という、一見適当な言葉かけだなぁと思うほうが、役に立っことがあります。
歩行でも同じです。
「この角度で、このあたりに、この足の向きで、踵からつけて歩いて下さい。」
という大体の人はぎこちなくなく歩きます。
「なるべく快適に、楽に歩いてみて下さい」
といえば、身体が自ら快適な応答を邪魔しないようにします。
どんな言葉が役に立つのかは相手次第ですが、あまり具体的に言うと
「このようにしなければならない」
に支配されてしまいます。
そうなると、多様な環境に適応して動く必要があるにもかかわらず、その言葉に支配されて身動きが取れなくなります。
先ほども例にだした、よくある言葉かけですが
「歩くとき踵からつけましょう」
と言っても、実際は凸凹の道もあるし、斜め道もあるし、ずっと踵からつけるなんて、無理な話なんです。
しかし
「快適に歩きましょう」
ならば、凸凹なら凸凹の中での快適に歩く事を、斜めなら、斜めの快適に歩くことを、その都度見つけていけばいいわけです。必ずしも踵からつかなくてもよくなります。
その都度状況に合わせて、適切な動きを見つけることは、実は無意識な身体の応答がします。身体の応答を邪魔しなければ、人は色んなところに適応して動けるようになります。
言葉は上手く使うと動きの助けになるし、邪魔することもあります。また、いくら正しいことを言ってるにしても、身体に対しては自然な応答を抑圧していることあるのです。
動きの答えは、言葉にはありません。答えは生身の実際に動く身体にあります。だからこそ身体の応答に注意を向くことを、助ける言葉かけをお勧めします。
言葉は具体的であればあるほど、動きを奪い、抽象的な言葉は、動きの応答を助けます。抽象的だからこそ、身体は自ら動きを発見し、様々な環境に適応しようとしてくれるのです。