ぼちぼちでええやん。

人の動きについて根っこから理解したいと思ってます。シンプルラーニング提唱者、キネステティク理事、YOUTUBE「楽な動きの学習会」ブログは癖が強い記事が多めです。

身体拘束をゼロにした方法

 

1.世界でも行われてる身体拘束問題

こんなニュースを見ました。

mainichi.jp

 

やっぱり海外でも、身体拘束は日常的に行われている問題なんだと思いました。

 

僕が昔働いていた老人保健施設も身体拘束率が80パーセント超える施設で、ある意味自由に動けるのが珍しいほど、なんらかの拘束を受けていました。今考える凄まじい状態ですね。。。

 

2.身体拘束の種類

身体拘束と言っても実は様々な種類があります。

 

代表的なものは 

・あんしんベルト 

caretaro.com

これは車椅子に括りつけるための、拘束具です。名前は穏やかですが、一度括られたら自分で外せないので、立つことも便座に座ることもできません。トイレに行きたくてもいけません。主に転倒のリスクが強い人につけられていました。立てないので、多くの人は車椅子のまま廊下をさまよい続けていました。

このホームページだけでないのですが、名前を柔らかく表現し、イラストも可愛くして、心身の負担がわかりにくい紹介がとっても多いです。ですから、何も考えず便利だという理由だけで導入している場合もたくさんあります。

これをつけたら誰があんしんするベルトなのでしょうか?主語は誰だと思いますか?

 

 

・つなぎ

 

www.sichifukusato.co.jp

デザインはこれぞ介護って感じで可愛いですが、なかなかの代物です。これは自分で脱げない、そして体全身を包みこむ拘束具です。ジッパーは専用の道具でしか外せません。つまり、痒い時にズボンに手を入れれないのはもちろん、これを着た時点でトイレに自分で行くことは不可能です。また排泄の失敗で汚れたとしても、当然ですが、脱いだりするこはできません。助けを呼ぶか、その能力がない場合、職員が忙しい場合耐え続ける必要があります。

排泄を失敗して、自分で手を入れて便をどうにかしようとして、さらに汚れてしまうような人に着させられます。しかしつなぎを着ると、トレイに余計にいけないから、さらに失敗するわけです。負のスパイラルに突入します。

 

・サイドレール(ベッド柵)

www.paramount.co.jp

これはベッドを周囲を高さのある、レールや柵で取り囲むことで、ベッドから出られないようにする拘束具です。普通に使う分には拘束具にはなりません。ただ、四方をすべて柵で囲むことで自分でベッドから起きて、外に出ようとしても出ることはできません。柵があるので、それを乗り越えようとしてさらに大きな怪我をすることもあり、またベッドがそもそも不適切な足が使いこで動作が不安なこともあります。そもそもベッドを低くするなど、落ちても怪我をしない体制を作ればいいのですが、柵をすることでベッドに出さないという対策を安易に選びがちです。

 

それに折りたたみ式のサイドレールは、ベッドの縁に収納されていますが、僕の施設で導入されてものは(これではないですが)、折りたたんでも、少し盛りだけベットの縁が盛りがって収納されます。そこに座るとお尻が痛く、またそのせいで浅く座れないために、立つときに努力的になったり、足がつきにくなったりと転倒リスクを高めます。つまり導入することで、立ちにくくなって、さらに不安定となる矛盾があります。

 

・ひも

単純にベッドの横に縛り付けられ、手の自由を奪います。点滴を自己抜去したりする人に使うことが多いです。両手を縛られると、地味ですが、かなりの心身のダメージを受けます。

 

・ミトン

www.monotaro.com

手を覆う布です。手を保護する場合、手を使わせない場合に使用します。ちなみに本人にはなかなか外せない構造になっております。

 

向精神薬

これは賛否が分かれるかもしれませんが、あくまでも不適切な処方の場合です。不適切な使用することでの心身のダメージは一番すごいです。明らかに反応が鈍くなり、人によってはよだれを垂らしたままぼーっとしています。介護抵抗や、感情的な人、暴力傾向がある人、なんらかの介護問題がある時に処方されることがあります。一旦よだれを垂れるぐらいぼーとすると、食事も食べることが減り、明らかに廃用がぐっと進みます。

 

とまあ、書き出すときりがないぐらいです。病院や施設には、多種多様な拘束があります。また読んでいて気づいた人もいるかもしれませんが、多くの場合、介護拒否、もしくは指示を理解してくれない人に使用されます。特に認知症の人によく使用されています。しかし介護拒否、介護提供、介護の失敗で起こるということは介護の仕方を工夫すれば解決する問題も多いです。

 

身体拘束は現在、家族の同意が必要です。必要は医療的な措置のために、拘束するということに許可をもらうのです。もちろん命を守るために、拘束しなければいけない場合などもあるかもしれませんが必要のない拘束、安易な拘束が多いのも事実です。

 

 

事実、僕が働いていた施設では、80%の拘束があったにもかかわらず、身体拘束をゼロにしました。一人一個だけ拘束されたわけではなく、実際はこれらの組み合わせです。昼はあんしんベルトで括られ、服はつなぎで、手にはミトン、さらに向精神薬をのみ、夜は四方囲まれたベッド柵で過ごすという身体拘束のフルセットみたい人もいました。

 

3.身体拘束を廃止にできた方法とは?

そこから身体拘束をゼロにした取り組みは、細かくいうときりがないのですが、一番大切なことをここでお伝えしたいと思います。細い対策については質問なり、会った時に聞くなりしてください。

 

では、一番拘束を無くすにおいて大切なことを話しましょう。

 

それは

 

まず、1人の身体拘束を無くすことです。

 

それだけかい!!と思うかもしれませんが、

身体拘束の解除は進め方が大切なのです。

 

いきなり全員を救おうとして、拘束をゼロにしても、一応理由があってしているわけですから、その問題を解決しないと無茶苦茶になります。何もノウハウもあるわけではありません。また職員はそれで一応安定してる職場になっているものですし、その状態に慣れているわけですから、その状況を大きく変えようとする存在は、多くの場合反発され、潰されかねません。

 

そこで、まず一人にフォーカースして、その一人の身体拘束をやめるということを始めます。大切なのは身体拘束をすべての人に無くす一歩なんだ!!とあまり強く主張しないことです。あくまでも目の前のおばあちゃん一人の拘束を外して、その人に元気になってもらいたいという気持ちが大切です。人は一般論では心に響きません。目の前の人の具体的な物語の方が心にぐっとくるのです。

 

職員の負担にしても、大きく状況が変わるわけではないので、協力を得やすいですし、反発もあまりなく行えるのもメリットです。

 

また、拘束を解除したい利用者は、比較的、やりやすい、うまくいきやすい人にアプローチする方がいいです。それは少しずつ、職員がノウハウをこの経験から学んでいくためです。難しい人に対しては対応しきれず、結局利用者のリスクも高まり、職員もやっぱりうまく行かなかったという学習の強化になるので、最初は取り組めば、うまくいくだろうという人をお勧めします。いきなり答えを上から言うのではなく、みんなで試行錯誤していきながら、学びのプロセスに巻き込みましょう。

 

もちろん、利用者さんに優先順位なく、誰しも困っているから、拘束を無くしたい気持ちはあります。しかし現実的に理想論だけでは、逆に相手に迷惑をかけてしますのです。ですから着実に少しずつ減らしていくことです。

 

一人がうまくいけば、またやりすい人をまた一人とできそうな人から拘束を解除していきます。みんなで協力してもらいながら、取り組み繰り返すと、拘束を解除するためのスキルとノウハウが出来上がります。少しずつですが、拘束を解除するのが難しい人も、「いけるんじゃね?」という土台が出来上がるのです。できる範囲が自然と広がって。

 

これは、実践を通して教育でもあるのです。このレベルまで職員が行くと、今度は新しい拘束される可能性がある利用者が入っても無駄に拘束を促したり、安易に拘束することが減っていきます。なぜなら拘束しなくても、ケアできることも知っているし、拘束しなかったら元気になることも知っているからです。

 

職員も悪い人だから、拘束しているわけではありません。いい人がほとんです。本人のために、これしかないと思って拘束するのは、仕方がないと思っているわけです。関わり方や視点を広げていけば、他にもあるんだと気づきます。また変化も少しずつなので、職員自身も状況に適応しやすいのです。

 

このサイクルを丁寧に進めていけば、あらふしぎ!!最後には誰も拘束されている人が気づいたらいないという状態を作るのです。もちろんここに行くまでには試行錯誤と苦労もあるでしょう。

 

身体拘束はダメだから絶対廃止!!

 

っていう理想論を振りかざすよりも、目の前の一人を元気にしたい。次は隣も人も、、、、

と取り組んだ方が現実的に解決できます。

 

僕は昔、このような関わりでゼロになりました。ただ、完全にゼロになったのは運が良かっただけかもしれません。どうしても無理な場合もあるでしょう。

 

しかし、今よりも身体拘束は確実に減らすことができます。

 

まずは目の前の人の笑顔から

取り戻してみましょう。

そこから広がって行きますから。

 

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※このホームページで紹介した業者が悪いのでもなく、結局は使う人によるものです。道具は道具でしかありません。ケアの質が低い場合はこのようは道具を使った方がいいのかもしれません、なければ怪我をして、寝込んでしまう場合もあるでしょう。

結局は使う人が、賢く取捨選択できれば、業者さんも販売するものは変わってきます。